任意のラインの電圧を測定したいときは、シミュレーション波形にカーソルを移動させて計測することができますが、それでは面倒なときがありますよね。
測定ポイントが多い時ほど波形から計測するのは大変です。
そのときに便利な機能が、「Place .op Data Label」のコマンドを使って、任意のラインの電圧を表示することが出来ます。
今回は、その時の注意点についてお話したいと思います。
今回の投稿は、YouTubeにもUPしていますのでご覧ください。
電圧表示は、どの時間の電圧なのか?
下の回路でトランジェント解析し、「Place .op Data Label」コマンドで電圧を表示させると次にように表示されます。
V1の出力電圧は、10V。
OUTの電圧はR1とR2の分圧なので、OUT=10V×3k/(1k+3k)=7.5Vとなり計算通りの値となっていることがわかります。
では、この電圧は、どこの時間の値なのかというと、0 [sec]のときの値を示しています。
グラフで示すと0.0sとなっている箇所になります。
入力が直流電圧で、かつシミュレーション開始時から10V出力されているので、問題なく計算通りの値が表示されます。
しかし、入力波形がPULSE波やSINE波だったらどうなるでしょうか。
さっそく検証してみましょう。
入力がPULSE波だったら、どうなる?
スタート0V、立ち上がり時間0.1s、電圧10VのPULSE波形を入力したら、次のようにV1およびOUTの電圧が0Vとなってしまいました。
本来であれば、次のグラフのように立ち上がり後の電圧(V1:10V、OUT:7.5V)を表示してくれれば問題ないのですが、LTspiceでは、0secのときの電圧を表示してしまうので、スタート時間の0Vを表示します。
つまり、PULSE波形の入力では正常に表示できないことが分かりました。
入力がSINE波だったら、どうなる?
オフセット電圧0V、最大電圧10V、周波数1HzのSINE波を入力したら、PULSE波と同じようにV1およびOUTの電圧が0Vとなってしまいました。
PULSE波と同様にSINE波形でもスタート時の電圧が0Vなので、0Vと表示してしまいます。
そもそも、SINE波のような交流電圧は、時間とともに電圧が変動してしまうので、この機能は使えません。
SINE波をオフセットさせたら、どうなる?
改めて「Place .op Data Label」コマンドでの電圧表示が、時間軸で0secのときの電圧を表示していることをSINE波をオフセットさせて確認したいと思います。
2Vオフセットさせると、V1の電圧が2V、OUTの電圧が1.5Vと表示されました。
OUTの電圧は、入力電圧2Vに対して抵抗で分圧された電圧になるので、OUT=2V×3k/(1k+3k)=1.5Vとなり計算通りの値となっています。
このように、スタート時間0secの値がオフセットされて電圧が出力されている状態のときは、オフセット電圧2Vが表示されることが分かりました。
以上ことから、「Place .op Data Label」コマンドを使用して電圧表示させる場合は、直流電圧をスタート時から入力しているものに限り、正常に機能することが分かりました。
電圧表示が計算通りになっていない時などは、この辺りを再度ご確認ください。