LTspiceでは、以下の6つの解析ができるようになっています。
- トランジェント解析
- AC解析
- DCスイープ解析
- ノイズ解析
- DC伝達関数解析
- DC動作点解析
この中でもトランジェント解析は、よく使う解析方法です。
トランジェント解析とは、回路に電源を投入した時に、時間的に電圧や電流が変化する特性について解析するものです。
トランジェント解析方法
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信号源属性の設定
回路の信号源は、通常、PULSE波かSINE波に設定することが多いと思います。「Independent Voltage Source」のダイアログを開き、Functionsの項目からPULSEかSINEを選択し数値を入力して設定します。
PULSEの設定
PULSEの場合は、下記のFunctionsの各必要項目に数値を入力して設定します。
下記は、サンプル回路(37C.asc)の電源V3の設定内容です。
- Vinitial [V] : Loレベルの電圧値
- Von [V] : Hiレベルの電圧値
- Tdelay [s] : 0時間から動作開始までの遅延時間
- Trise [s] : LoからHiになるまでの立ち上がり時間
- Tfall [s] : Hi からLoになるまでの立下り時間
- Ton [s] : Hiレベルになっている時間
- Tperiod [s] : 一周期の時間(LoレベルとHiレベルの中間電圧を基準とします)
- Ncycles : 繰り返し数(未記入の場合は、連続して出力されます)
SINEの設定
SINEの場合は、下記のFunctionsの各必要項目に数値を入力して設定します。
下記は、サンプル回路(118A.asc)の電源V3の設定内容です。
- DC offset [V] : オフセット電圧値(DC成分を重畳しない場合は0を入力)
- Amplitude [V] : 振幅電圧値
- Freq [Hz] : 発振周波数
- Tdelay [s] : 0時間から動作開始までの遅延時間
- Theta [1/s] : ダンピング係数(正弦波を時間とともに減衰させる速度を入力)
- Phi [deg] : 位相差(90度を指定すればCOS波となります)
- Ncycles : 繰り返し数(未記入の場合は、連続して出力されます)
周波数の設定で、メガヘルツを設定する場合は、”Meg“とする必要があります。
解析の設定
解析の設定は、メニューバーの「Simulate」→「Edit Simulation Cmd」をクリックし、「Edit Simulation Command」のダイアログを表示します。
トランジェント解析の設定をしますので、「Transient」タブをクリックします。
ここでは、サンプル回路(118A.asc)を使用します。
- Stop Time:解析終了時間を入力
- Time to Start Saving Data:データ保存開始する時間を入力(必ず0から開始するので未記入でも可)
- Maximum Timestep:時間間隔の最大値(Tstartを設定した場合は、必ず入力が必要)
- Start external DC supply voltage at 0V:外部電源を0Vの初期値に設定します。(デフォルトは、無効になっています)
- Stop simulating if steady state is detected:定常状態に達して変化しない場合、シミュレーションを停止します。(デフォルトは、無効になっています)
- Don’t reset T=0 when steady state is detected:設定不可
- Step the load current source:電流源をステップ変化させます。(デフォルトは、無効になっています)
- Skip Initial operating point solution:DC動作点の解析(.op)を省略します。(デフォルトは、無効になっています)
「Transient」タブの下部に、解析の構文が自動で表示されます。(直接入力することも出来ます)
・Tranの構文は、下記のようになります。
.tran <Tstop> <Tstart> <dTmax> <option>・・・の並びで構成されます。
「.Tran」のようにピリオドで始まるコマンドをドット・コマンドと言います。このコマンドを回路図に挿入することで、シミュレーションが実行可能となります。
シミュレーションの実行
シミュレーションの実行は、ツールバーの「Runボタン」をクリックして波形ビューワー(プロット画面)を表示します。または、メニューバーの「Simulate」→「Run」をクリックしてもOKです。
実行すると、下記のように画面が上下に分かれて、上段がプロット画面、下段が回路図画面になります。
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プロット方法の選択
シミュレーションの結果をプロットする方法は、下記の3つの方法があります。
- プローブによる確認
- メニューコマンド 「Visible Trace」による確認
- メニューコマンド 「add trace」による確認
一番使いやすいのは、プローブによる確認ですので、この方法でプロットしたいと思います。
プローブの種類は、下記の3つが用意されています。
(1) 電圧プローブ:カーソルを配線の近くに移動させると、赤いプローブが表示されます。
(2) 電流プローブ:「Alt」キーを押しながら配線上にカーソルを移動させると、クランプメータが表示されます。また、部品の上にカーソルを移動させても、クランプメータが表示されます。(赤い矢印は、電流が流れる方向を示します)
(3) 電力計 :「Alt」キーを押しながら部品の上にカーソルを移動させると、温度計が表示されます。
電圧プローブを使って、オペアンプの入出力を測定
オペアンプの入力端子(+)側のライン上にカーソルを移動させると電圧プローブに変わります。その状態で「左クリック」するとプロット画面に波形が表示されます。プロット画面の上部には、プロットしたノード名が表示されます。
同様に、オペアンプの出力端子側のライン上で「左クリック」すると、同じプロット画面に波形が追加されます。
緑が入力波形、青が出力波形です。
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電圧・周波数を計測してみます
カーソルによる電圧および周波数を測定するための方法は2つあります。
(1) Expression Editorでカーソル数を指定する方法
測定したい波形のノード名にカーソルを移動させると指マークに変わるので、その状態で「右クリック」すると 「Expression Editor」のダイアログが表示されます。Attached Cursorのプルダウンメニューから、カーソルの本数を選択します。ここでは、ノード名V(vin)を選択し、カーソルは「1st & 2nd」を選択し、OKをクリックします。
(2)マウスで直接カーソル数を指定する方法
測定したい波形のノード名にカーソルを移動させると指マークに変わるので、その状態で「左クリック」すると、カーソル1が表示されます。同時に、読み取り表も表示されます。
同じノード名の箇所で続けて「左クリック」すると、カーソル2が表示されます。(最初は、1と2のカーソルが重なっているため分かりづらいです)
このように、カーソル1とカーソル2の時間と電圧が同時に計測できます。更に、カーソル2とカーソル1の差分を計算してくれますので、周波数と時間差も同時に表示されます。