オープンループゲインとは
オペアンプ自体の増幅率のことで、データシートでは電圧利得(又は差動利得)と表しています。
理想的には無限大ですが、実際のオペアンプでもオープンループゲインは非常に高くて、105倍(100dB)程度あります。
下のグラフは、NJM4558のデータシートから抜粋したものですが、オペアンプの電圧利得は周波数特性を持っており-20dB/decの傾きで減衰していきます。
なお、電圧利得が0dBとなる周波数のことをユニティゲイン周波数といい、データシートでは利得帯域幅積(GB積)として表されます。NJM4558のGB積は、3[MHz]となっています。
シミュレーションしてみましょう
電子回路シミュレータLTspiceを使って、オペアンプ単体のオープンループゲインについてシミュレーションしてみたいと思います。
オペアンプは、新日本無線の汎用オペアンプ(NJM4558)を使用します。
回路図は下図のようになりますが、理想オペアンプ以外のPspiceモデルには、入力オフセット電圧もモデル化されているため、オペアンプ単体でオープンループゲインを測定すると、入力信号がなくても電源電圧まで出力されてしまい、正確にシミュレーションすることが出来ません。
これを避けるために、負帰還の形にしてマイナス入力端子側に入力信号源(V1)を接続します。
上図の回路図をブロック図で表すと下記のようになります。
オペアンプの基本式より、出力(VOUT)は
\(V_{OUT}=A・(V_{IN+}-V_{IN-})=A・(0-\beta・V_{IN})\)
\(~~~~~~~~=-A・\beta・V_{IN}\)
となります。この式より、オペアンプのオープンループゲイン(A)は
$$A=-\frac{V_{OUT}}{\beta・V_{IN}}$$
となります。
入力信号源(V1)を直接マイナス入力端子に印加しているので、帰還率(β)は1となり、オープンループゲイン(A)は
$$A=-\frac{V_{OUT}}{V_{IN}}$$
で求めることが出来ます。
この式を使って、オペアンプ回路のVinとVoutを測定し計算すれば下記のようなグラフが完成します。
以上のようにシミュレーションした結果、NJM4558の電圧利得周波数特性とほぼ同じ結果となりました。